「Head Firstデザインパターン」が設計力を底上げしてくれる良書だった
「Head Firstデザインパターン ―頭とからだで覚えるデザインパターンの基本」を読みました。
Head Firstデザインパターン ―頭とからだで覚えるデザインパターンの基本
- 作者: Eric Freeman,Elisabeth Freeman,Kathy Sierra,Bert Bates,佐藤直生,木下哲也,有限会社福龍興業
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2005/12/02
- メディア: 大型本
- 購入: 14人 クリック: 362回
- この商品を含むブログ (98件) を見る
新人研修中に凄腕エンジニアに薦められて早三年半、やっっっと読みました。 流石凄い先輩が推薦してるだけあって、期待通りかなりの良書でした。
以下、良かったところをザックリ書いていきます。
パターンが活躍する実例から導入が始まる
特に良いなと感じた点は、各パターンが活躍する実例から導入が始まる点です。
大まかな流れとしては、「こんなものが作りたいんだよねー」という小話(要件)が最初にあり、まずはそれに沿った設計が提示されます。 すると要件の変更やら何やらが発生し、現状の設計のままだと問題があることに気づき、リファクタリングを余儀なくされます。 そこで「むむ、確かに。どうしたら良いんだろう」と考えさせられてからの、パターンの登場!
このような流れなので、そのパターンが適用できる状況や、解決可能な問題がスッと頭に入ってきます。
パターンへの深い理解がしやすく、記憶にも残りやすい作りになってるなと感じます。
デザインパターンへ懐疑的な人へのメッセージ
デザインパターンへ懐疑的な人へのメッセージが載っていたのも良かったです。
というのも、実は「優れたオブジェクト指向設計をしてればデザインパターンは不要では?」と若干思ってました*1。 しかし、そうじゃないんだよと、デザインパターンを学ぶことに意義はあるよと、そういう話があり良かったです。
重要度が高いパターンの重点的解説
使用頻度が高く重要度が高いと思われるパターンを重点的に解説してある点も、メリハリがあり良かったです。 正直「こんなにいっぱいあんのかよ」と思ってたので、重要なものを示してくれるのは本当にありがたかったです。
パターンは単なる道具
「デザインパターンに縛られるな。パターンは単なる道具。基本は設計原則に従いシンプルに保て」と言った、当然だけど初学者がハマりがちな罠への言及もしかっかりあり良かったです。
目指すところは優れたオブジェクト指向設計者であるというのを強く感じました。
まとめ
とっても良い本でした!
*1:ホントは本を読むのがめんどくさくてそう言い訳してただけです。笑
「道を歩けば前置詞がわかる」が面白かった
「道を歩けば前置詞がわかる」を読みました。
- 作者: 宗宮喜代子,石井康毅,鈴木梓,大谷直輝
- 出版社/メーカー: くろしお出版
- 発売日: 2007/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
前置詞関連本はこれで2冊目です。
今回読んだ本は、基本的に「道を歩く」という日常の動作と前置詞のイメージを関連付けて説明しています。 前回読んだ本が独自理論感の強い本だったので、「王道」な感じがするこの本を2冊目として選んでみました。
前置詞の説明に使われている「道を歩く」ことに関連したイメージが非常にわかりやすく、とても良かったです。
「なるほど!」と思う説明が多く、今回もまた前置詞のイメージが一段厚くなった感じがします。
また、日本人が前置詞や句動詞を使いこなすためのコツが3章に書いてあり、そちらも良かったです。
知れば知るほど、前置詞は深いなぁという感じがします。
前置詞の持つ底知れぬ表現力を使いこなしたい……!
『医師のつくった「頭のよさ」テスト』を読んだ
『医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~』を読みました。
医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)
- 作者: 本田真美
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/06/15
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
思考や認知の好みを6種類の「認知特性」に分類し、それぞれの特徴などについて書いてある本です。
認知特性とは、外界からの情報を頭の中で理解したり、整理したり、記憶したり、表現したりする方法のことらしいです。
大きく分けると3つで、視覚優位者、言語優位者、聴覚優位者に分類できるそうです。
以下のサイトに目を通すと、本の概要がスッキリわかると思います。
個人的には「あーなるほどね」と思うことが書かれていました。 同じ科目でも人によってアプローチが違うことや、得意不得意などもこの辺の特性に基づくと確かにそうかもなーと思うことが多かったです。
自分の認知特性とその特徴を把握しておくと、何かと役立つ気がするので、読んでみると楽しいと思います。 特に、子育て中の人や教師など、子供と関わる人は読んでみると得るものが大きい気がします。
認知特性は以下のサイトでも診断できるので、一度やってみると面白いと思います。
ちなみにやってみたらこんな結果になりました。
26以上で強い認知特性*1、14以下で弱い認知特性とのことです。
つまり、私は言語抽象 + 聴覚言語の2タイプの特性が強いようです。
■言語抽象タイプ…文字や文章を図式化してから思考する。初対面の人を名刺の文字で覚え、ノートをわかりやすくまとめるのが上手い。内科系医師、作家、教師、金融関係者、心理学者など。
■聴覚言語タイプ…文字や文章を耳から入れる音として情報処理する。難しい話題でも、一度聞くと理解でき、ダジャレや人の言葉尻を捉えるのが上手い。弁護士、教師、落語家、アナウンサー、音を意識できる作詞家など。
言語抽象タイプは「言葉に文字や数字、図を系統立てて結びつけるのが得意」で、聴覚言語タイプは「イメージよりも言語そのもので思考を働かせることができる」らしいです。
また、言語抽象タイプは「書いてある言葉」に強く、聴覚言語タイプは「音声としての言葉」に強いというのが大きな違いですが、どちらも言語優位ということで被る点も多いようです。要するに完全なる左脳優位者。
まとめると、書き言葉も話し言葉も「言語という抽象的なイメージ」として処理するタイプ、と言えると思います。
裏を返すと情報処理に映像を使わない傾向にあるとも言えそうです。
これに関しては「予想通り & 仰るとおり」感があって、なかなか納得できます。
で、これをどう活用するかというと、例えば自分にあった勉強法や暗記法を行う、認知特性を意識したコミュニケーションを行う(認知特性が違えば同じことを聞いても同じように理解するわけじゃない)など、色々あります。
詳しくは本を読んでください!笑
ただ、この本には「解答」は載っていないので、認知特性を知った後は自分次第……と、いう感じです。
雑にまとめると「人それぞれ違う」ということを認知特性という視点から理解できる、そんな本でした。
*1:このサイトの方では46以上で強い認知特性となっていましたが、本では26以上が強い認知特性となっていました。 サイトと本では設問数が違うので46が正しい可能性もありますが、46はちょっと極端すぎる気がするので、26の間違いじゃないかなと思っています。
「イシューからはじめよ」が噂通り良書だった
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』を読みました。
- 作者: 安宅和人
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2010/11/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 48人 クリック: 660回
- この商品を含むブログ (144件) を見る
「知的生産の本質」について書かれた本で、序章の「この本の考え方」に非常に共感でき、読んでいて面白かったです。 「犬の道」という表現が出てくるのですが、まさに生産性の違いの本質を簡潔に表している気がしました。
印象に残ってる部分を復習がてら簡潔にまとめてみます。
「悩む」と「考える」は違う
- 悩む - 「答えが出ない」という前提
- 考える - 「答えが出る」という前提
根性に逃げるな
- 労働時間なんてどうでもいい
- うさぎ跳びを繰り返してもイチローになれない
良いイシューとは
- 本質的な選択肢である
- 深い仮説がある
- 答えを出せる
1次情報に触れる
- 1次情報とは誰のフィルター通ってない情報。
- 2次情報だと「情報を切り出した断面」になってしまう。
「集め過ぎ」と「知り過ぎ」のデメリット
- 集め過ぎる新しい取り込みのスピードが鈍る
- いわゆる100%までの労力とそれ以下までの労力の相関の話
- 知識が増えすぎると、その知識の枠で答えが出せてしまうので知恵が減る
- 「知り過ぎたバカ」にならないように注意
脳は「異質な差分」を協調して情報処理をする
- 脳は「異質な差分」を協調して情報処理するように進化している
うどんの匂いが食べているうちに数パーセント弱くなってもすぐには察知できない。 同じ形のグラフやチャートが続くと、2枚目以降に関しては認知する能力が格段に落ちる。
「理解する」とは「情報をつなぐこと」
- 脳神経系では「2つ以上の意味が重なりつながったとき」と「理解したとき」は本質的に区別できない
- 「情報のつなぎ」が起こらないと記憶は消える
- 「情報のつなぎ」を繰り返すことで理解が進み記憶が定着する
いくつも手法をもつ(固執しない)
- 「もっている手札の数」「自分の技となっている手法の豊かさ」がバリューを生み出す人としての資質に直接的に関わる
- 最初の5年や10年はなるべく広い経験とスキルの育成に励むべき
完成度よりも回転数(エレガントよりもスピード)
- 何度も取り組む(回転をあげる)ことでレベルを上げる
- こちらもいわゆる100%までの労力とそれ以下までの労力の相関の話
「デルブリュックの教え」
ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え
ひとつ、聞き手は高度の知性をもつと想定せよ
「賢いが無知」というのが基本とする受け手の想定となる。
実験の2つの結果
- もし結果が仮設を確認したなら、何かを計測したことになる
- もし結果が仮設に反していたら、何かを発見したことになる
仮説が崩れたら「発見だ!」と思うぐらいの気持ちでよい。
本当にイシューかどうか振り返る
「この作業ってほんとうに意味があるのか?」と思ったら立ち止まって、「それは本当にイシューなのか?」と問いかけることからはじめる。
感想
一言でまとめてしまうと正しい問題*1設定と仮説検証が重要、という話だと思います。 この本では、これをいかにうまくやれるかが生産性に大きく寄与するということの説明と、それを実践するための手法や考え方について書かれています。
序章の「考え方」についてが本当に「知的生産における生産性の本質」をついてると感じるので、是非そこだけでも読んでみて欲しいです。
「犬の道」に踏み込まないように気をつけていきたいですね。
知的生産の本質を教えてくれる良い本でした。
*1:日本語の「問題」だと、"problem", "issue", "question" と意味が広いので、この本では意味を明確にするために「イシュー」と呼んでいるんだと思います。
「aとtheの底力」が英文の見え方を変えてくれる良書だった
「aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界」を読みました。
aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界
- 作者: 津守光太
- 出版社/メーカー: プレイス
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 20人 クリック: 46回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
あまりに面白くてほぼ1日で読みきってしまいました*1。
どう頑張っても劣化した説明しか書ける気がしないので、本の内容に関しては言及しませんが、英文の見え方が変わったなぁという感じがします。
1年前に英語の勉強を開始した際に読んだ一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)も「コイツは革命だー!」という気持ちになったのですが、 この本もまた新しいイメージを身体の中に作ってくれる良書でした。
とても面白いし読みやすいので、冠詞って謎だなぁと思っている人は一度読んでみて欲しいです!
久しぶりにあまり苦しまずに読みきれましたっ!
*1:寝落ちと戦うために途中から立って読んでました。本読んでると凄い確率で寝落ちします……。
「今までにない前置詞講義」が確かに今までにない感じだった
「今までにない前置詞講義」を読みました。
- 作者: 西村喜久
- 出版社/メーカー: アスク
- 発売日: 2005/12/13
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
色々評価が高い前置詞本がある中でこれを選んだ理由ですが、 前置詞どうしの因果関係を点→線→円と立体的に関連付けて解説している点に惹かれたためです。
読んでみた結果、確かに今までにない感じだなと思いました。 ただ、全体的に独自理論な感じがするので、人を選ぶかもしれません。
個人的には、これまでにない考え方で前置詞に触れることができてかなり有意義でした。
自分の中の前置詞のイメージが一段厚くなった感じがします。
語学全般そうだと思いますが、特に前置詞に関しては身体に叩き込むしかないと思うので、 こんな感じでいろんな方向からインプットしていきたいです。
英語沼から抜け出せる日を夢見て……。
「発信型英語 類語使い分けマップ」がとても良かった
「発信型英語 類語使い分けマップ」を読みました。
- 作者: 植田一三,Michy里中,長谷川幸男
- 出版社/メーカー: ベレ出版
- 発売日: 2015/02/23
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
タイトルどおりの内容で、とても良かったです。
アウトプットする際に良く使用する語彙がかなり網羅的に載っており、各グループごとの類語の説明もとても丁寧に書いてありました。
「これってそういう意味だったんだ!」となることも多く、基本語彙でも表面的な理解しかしてなかったんだなぁと思い知らされました。
また、知らない語彙もたくさん載っていました。それについては当然一度読んだだけでは覚えられないので、 「この辺りの類語ってどうなってたっけ?」と普段から意識し、ちょこちょこ読み返していきたいと思います。
まさに発信力をあげるための良書でした。