『物語 英語の歴史 THE STORY OF ENGLISH』という本を読みました。
- 作者: フィリップグッデン,田口孝夫(監訳)
- 出版社/メーカー: 悠書館
- 発売日: 2012/01/15
- メディア: 単行本
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紀元前から現代に至るまでの英語の歴史を物語風に語ってくれています。
動機
読むに至ったきっかけは、英語の勉強を始めた際に『現在の英語ってどう成立してきたんだろう?どんな歴史を持っているんだろう?』という疑問が強くなっていったことです。
気がついたら某書店の英語史コーナーで本を物色していました。 その中で一番読んでいて面白そうで、自分が欲しいなとイメージしていた本がまさにこの本でした。
内容
言語がどのように移り変わってきたか、非常に読みやすい文体で書いてあります。
どんな内容だったか全部を書くとキリがないのですが、印象に残ったものとしては、
- 今の英語に繋がる言語はいつどこで発生したのか
- フランス語由来の言葉が入ってきた歴史的背景
- どうしてアメリカでは英語が共通言語になれたのか
- アメリカ英語とイギリス英語でスペリングが異なる理由
- どのようにして英語が世界中に広まり世界語になったのか
などがあります。
英語自体のことが気になるなって思った方は、読んでみると面白いと思います。
個人的に特に印象に残ってるのはノルマン・コンクエストとアメリカ英語の話です。
ノルマン・コンクエスト
何故、フランスに支配されたにも関わらず英語がイングランドの主言語であり続けることができたのか、とか、その際にフランス語から英語に入っていった語彙やその特徴といった話が面白かったです。
アングロ・サクソン語とノルマン・フランス語の相違は、家畜が行きて歩き回っている時の名前(古英語)と、その家畜が料理されて食卓に出された時の名前(ノルマン語)の区別にあらわれているという。ゆえに、野原の sheep「羊」は食卓では mutton「羊肉」に、cow「牛」は beef「牛肉」に、swine「豚」は pork「豚肉」になるわけである。
これはイングランド人が家畜の世話をして、ノルマン人は室内でフランス風の料理を食べていたから、という当時の力関係を反映してたりするそうです。
この時期ではおよそ1万語がノルマン・フランス語から英語に入ってきたようです。
アメリカ英語
アメリカ英語に関する話では、色々な国がアメリカを開拓していたのに、何故英語が共通言語になれたのかと言った理由や、イギリス英語とスペルが異なっている部分に関する歴史的な説明があって面白いです。
愛国的思い入れと良識の両方をそなえていたウェブスターはまた、スペリングの改革を導入することによって、アメリカには独自性があり、イギリスとはちがうということを主張した。
当時のアメリカがイギリスから独立したいと感じていたことが強く伝わってきます。
感想
英語の勉強とは関係なく、普通に読み物として面白かったです。
帯の言葉をそのまま引用しますが「面白エピソード満載、わかりやすくてネタになる、エンタテインメントな英語史」な感じの本です。
エンタテインメントなとは言いつつ、きっちり紀元前から始まり、中世、近代、そして現代に至るまで広く話が展開されています。
英語史気になるけど、重い学術的な本は嫌だなという、私みたいな人が読むのにピッタリでした。
英語は「綴りや活用が不規則」とか「発音通りのスペルにすべき」とか言われたりもしますが、それに関する話もあったりします。
どういう単語は活用が不規則なことが多く、何故そうなっているのか、今発音通りのスペルに英語を直そうとしたらどういう問題が起きるのかなどが書いてあります。
単純に英語そのものをより知ることで、英語自体を好きになるという効果があるので、英語の勉強をしている方は息抜きに読んでみると良いかなと思います。
英語の歴史を楽しく知れる良い本でした。