「部下育成の教科書」を読んだ
「部下育成の教科書」を読みました。
- 作者: 山田直人,木越智彰,本杉健
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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一言で言うと「それぞれのステージに応じた仕事の任せ方、アドバイス、フィードバックをしよう」という話でした。
まず、本書ではざっくりステージを以下のように定義しています。
一般社員層
- スターター (Starter / 社会人)
- ビジネスの基本を身につけ、組織の一員となる段階
- プレイヤー (Player / ひとり立ち)
- 任された仕事を一つひとつやりきりながら、力を高める段階
- メインプレイヤー (Main Player / 一人前)
- 創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成する段階
- リーディングプレイヤー (Leading Player / 主力)
- 組織業績と周囲のメンバーを牽引する段階
マネージャー(管理職層)
- マネージャー (Manager / マネジメント)
- 個人と集団に働きかけて、組織業績を達成しながら変革を推進していく段階
- ディレクター (Director / 変革主導)
- 対立や葛藤を乗り越えながら、変革・改革を起こし、組織の持続的成長を実現する段階
- ビジネスオフィサー (Business Officer / 事業変革)
- 戦略的な資源配分を通じて、自ら描いた事業構想を実現する段階
- コーポレートオフィサー (Corporate Officer / 企業変革
- 社会における自社の存在意義を絶えず問い直し、自社の進路を決める段階
スペシャリスト (管理職層)
- エキスパート (Expert / 専門家)
- 高い専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業変革に貢献する段階
- プロフェッショナル (Professional / 第一人者)
- 卓越した専門性を発揮することを通じて、事業変革に道筋をつける段階
これらのステージは段階的に登っていくものであり、飛び級は基本的にないと書かれていました。
そして、これらのステージに応じた「仕事の割当、支援、評価」をするべき、というのがこの本の骨子です。
加えて、ステージを登るのは大きな転換であり、仕事のやり方や価値観、モノの捉え方そのものなどを大きく変える必要がある、とのことです。
単なる延長ではなく、価値観や視野を変える必要がある大きな転換であるため、ステージを登るのは大変だそうです。
伸び悩みというのは、このステージの移行(トランジション)がうまくいってない状態とも書かれており、 このトランジションをいかにサポートできるかがマネージャーの育成能力、という感じでした。
さらに、チームメンバー同士がこのトランジションを促進しあうチームを作れるというのも重要です。
なかなか、シンプルでわかりやすいなと思います。
個人的にいいなと思ったのは、トランジションという概念でした。
ここでのこの言葉の出典は、ウィリアム・ブリッジズの『トランジション』で、
と言ったものです。
また、
「終わり」は、自分を取り巻く環境や状況が変化する中で、うまくいっていたことがうまくいかなくなることから始まるといいます。 これまでの安定が崩れ、失うものに対する恐怖心がわき、不安定な状態になるのです。 そして「ニュートラル・ゾーン」は喪失・空白の時期であり、喪失感や空虚感を素直に受け止め、耐える時期としています。 それは暗闇を手探りで進むようなものですが、次の「始まり」のために、内的な方向づけをする大切な時間だといいます。
と解説されています。
うちの社長がよく「憂鬱でなければ、仕事じゃない」という言葉を引用するんですが、 これも「トランジションを経ないと、成長しないよ」と、捉えれるなと思いました。
もう少し狭い話ですと、新しいライブラリやフレームワーク、デザインパターンを使うときでも、 確かに「終わり、ニュートラル・ゾーン、始まり」みたいなのがあるなと感じ、 成長したり何か新しい世界に入るときには、このトランジションを経るのだろうと思いました。
端的にまとめると、その人の現在の状況に適したマネジメントを行うこと、 トランジションは苦しいが成長のためには必要なこと、これらを念頭においておくと良いと思います。
トランジションを知っているだけで、心が折れることも少なくなりそうです。笑
なかなかおもしろい本でした。