雀巽の日記帳

雀巽が綴る日常の記録

エンジニアリングマネージャーのやさしい定義

ソフトウェア開発に関するジョブタイトルやポジションは多くが英語圏から輸入された言葉で、代表的なものを挙げると、テックリード、プロダクトマネージャー、そして CTO があります。

本記事ではその中のエンジニアリングマネージャーにフォーカスし、役割、責任範囲、必要となるスキルに触れ、エンジニアリングマネージャーというポジションをわかりやすく定義します。

そこそこ長文になってしまったので、時間のない方は最後のまとめだけでも目を通してみてください。

執筆の動機

自分自身がエンジニアリングマネージャーというポジションについて3年目ということもありますが、日本におけるエンジニアリングマネージャーの情報があまりに錯綜している、というのが最も強い動機です。

これらの借用語の中でもおそらく日本で注目され始めたのが近年ということもあり、エンジニアリングマネージャーは、なんだか新しい、従来のマネージャーとは違う魅力的なポジションと捉えられている側面があるように感じます。

筆者はイギリス在住イギリス企業勤務ですが、少なくともイギリスにおいてはエンジニアリングマネージャーは新しいポジションではありません。ただし実際の仕事内容はバラエティに富んだ、モダンで魅力的なものだとみることもできます。それがなぜかについては本記事を読んでいただければわかると思います。

前提知識

  • Individual Contributor (IC) vs マネージャー
  • マネージャーのアウトプット
  • アカウンタビリティ vs レスポンシビリティ
  • 権限委譲とそのスケール

これらの知識はエンジニアリングマネージャーの役割を理解するうえで最低限必要な知識であるため、簡単に解説しておきます。

Individual Contributor (IC) vs マネージャー

マネージャーは自分の直属の部下からなるチームを持ち、IC はそうではありません。また、マネージャーとリーダーを区別することもありますが、組織構造の文脈でこれらを区別する利点はないので、本記事では区別しません。

マネージャーのアウトプット

マネージャーのアウトプットは以下の通りに定義されます。

自分のチームのアウトプット + 自分が影響を与えた人のアウトプット

こちらは Become an Effective Software Engineering Manager で紹介されている定義の通りです。

マネージャーとして最も重要な指標になるのが自分のチームのアウトプットとというのはわかりやすいと思いますが、後者の影響を与えた人 (原文では the output of others that you influence) は少しわかりにくいかもしれません。簡単な例は「意思決定への貢献」です。自分のチーム外への貢献度合いと言い換えることができます。

アカウンタビリティ vs レスポンシビリティ

アカウンタビリティとレスポンシビリティに厳密に対応する語彙が日本語にはありません。辞書を引くと最初に「説明責任」と出てくるので、アカウンタビリティを単に説明責任と覚えている方もいると思います。この翻訳は間違いではないですが、これだけではアカウンタビリティの意味を理解するのは難しいです。

  • アカウンタビリティ: 結果に対する責任。結果の帰属先(オーナーシップ)。
  • レスポンシビリティ: 実行に対する責任。実務の担当範囲。

アカウンタビリティが説明責任と訳されるのも、結果が帰属するからです。そのチームのアウトカムに対してオーナシップ*1を持つということは当然、それらを説明できる必要があります。それに対してレスポンシビリティは担当のタスクをやり遂げる、実行に対する責任です。

いかにフラットな組織でも、会社に代表は存在する*2ので、会社が行ったことに全て対するアカウンタビリティはこの代表に帰属するわけです。

権限委譲とそのスケール

権限委譲とは一言で表すと「アカウンタビリティを保持したままレスポンシビリティを移譲すること*3」になります。

そして権限委譲はグラデーションになっており The Scale of Delegation のように説明されます。

The Scale of Delegation

Source: Become an Effective Software Engineering Manager

自分でやる、具体的なやり方を伝える、大まかな方針を伝える、やり方も任せるが適宜確認する、完全に任せるのように推移していきます。完全に任せたとしても、アカウンタビリティは手放さないので、成果や状況など、結果に対する説明責任は負っている*4ことに注意しましょう。

エンジニアリングマネージャーの定義

前提知識をカバーしたので本題に入っていきます。

一言でエンジニアリングマネージャーを表すとエンジニアリングチームの担当範囲の全てににアカウンタビリティを負ったチームリーダーです。

定義はこれで終わりなのですが、抽象的過ぎると思うので詳しく踏み込んでいきましょう。

2つの意味を持つマネージャー

エンジニアリングマネージャーの詳細に踏み込む前に、エンジニアリングマネージャーを掴みどころのない存在としているもう一つの原因にここで触れておきたいと思います。

それは「マネージャーが2つの意味で使われている」ということです。チームリーダーとしてのマネージャーと、チーム以外の何かをマネジメントするマネージャーです。誤解を恐れず言うと上司と専門家になります。

最もわかりやすい後者の例がプロダクトマネージャーになります。プロダクトマネージャーはプロダクトのマネージャーであって、プロダクトチームのリーダーではありません*5。プロジェクトマネージャーも同様の例になります。

エンジニアリングマネージャーのマネージャーをこれらと同等に捉えて「エンジニアリングマネージャーはエンジニアではなく、エンジニアリングをマネジメントする」だから「エンジニアリングマネージャーは単なるエンジニア達のマネージャーではない」と言う方が一定数居ます。

残念ながらそんなことはなく、エンジニアリングマネージャーは基本的にはエンジニア達のマネージャーです。なぜならエンジニアリングマネージャーのマネージャーが表すのはチームリーダーというポジション*6だからです。

エンジニアリングマネージャーが新しいポジションではない理由はこれで伝わったかと思います。なぜならそれはエンジニアリングマネージャーはエンジニアリングチームのリーダーを指すからです。

では、なぜそれが場合によっては魅力的な、人によっては新しいとすら感じるポジションに映るのか、職務を詳しく見ていくことで説明します。

エンジニアリングマネージャーの職務

エンジニアリングマネージャーの担当範囲は、エンジニアリングチームの担当範囲全てに該当します。なぜならばチームの全てにアカウンタビリティを負うからです。

もちろん、エンジニアリングチームの担当範囲全てを自分一人で担当するのは基本的には不可能です。そこで権限委譲が鍵になります。

適切な権限委譲を行うことが、エンジニアリングマネージャーとして最も大切な仕事の一つとなります。

そして何をどのように権限委譲したかによってエンジニアリングマネージャー自身に残るレスポンシビリティが決まります。

これはどういうことかというと、担当範囲全てにアカウンタビリティを持つが、当然一人では担当できないので、レスポンシビリティを渡していくことになります。そして渡さなかったレスポンシビリティや渡し方の度合 (the scale of delegation) により、エンジニアリングマネージャー自身に残るレスポンシビリティが決まるということです。

エンジニアリングチームの職務

エンジニアリングチームの担当範囲を見ればエンジニアリングチームの担当範囲の詳細がわかることになります。

ここでエンジニアリング組織論への招待 で有名な広木さんの書いた人気の Qiita 記事エンジニアリングマネージャ/プロダクトマネージャのための知識体系と読書ガイドを見てみましょう。

エンジニアリングマネージャーのスキルセット by 広木大地

おそらくこちらがエンジニアリングチームマネージャの日本語情報で最も参照されているものの一つなので、強い EM や弱い EM という単語を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか*7

こちらのスキルセット、ピープルマネジメントを除いてソフトウェア開発チーム*8に求められるスキルセットと同一と言っても過言ではないことがわかると思います。

広木さんの言うところの強い EM はつまり、「ソフトウェア開発チームの担当範囲全てに一定量のレスポンシビリティを残したままのエンジニアリングマネージャー」を指します。

弱い EM を見てみると、一般的に専門家、例えばプロダクトマネージャーやプロダクトマネージャーを抱える分野が削られているのがわかると思います。

どのレスポンシビリティをどれだけ誰に委譲するかは、完全に組織構造とメンバーのスキルセット、そしてエンジニアリングマネージャーの裁量に依存します。

ただし、この中で絶対に権限委譲をしない分野があります。それはピープルマネジメントです。ここを委譲するとマネージャー=チームリーダーで無くなってしまいます。

まとめると「エンジニアリングマネージャーはソフトウェア開発チームの担当範囲の全てにアカウンタビリティ(結果への責任)を持つ。レスポンシビリティ(実務の担当範囲)は権限委譲の度合いにより決まる。ただし権限委譲を含めたピープルマネジメントは最も重要なレスポンシビリティとして必ず残る」となります。

組織構造による職務の違い

ここまでソフトウェア開発チームとひとまとめにしてきましたが、会社によってソフトウェア開発チームの組織構造は大きく異なります。それどころか、同一の会社内であっても、ソフトウェア開発チームの組織構造が異なるということは往々にしてあります。

例えばプロダクトマネージャーがエンジニアリングマネージャーの直属でないケース、テックリードがチーム内に居るケースなど、様々なバリエーションがあります。

またチームトポロジーでいうところのプラットフォームチームにはそもそもプロダクトマネージャーが居ないケースもあるでしょう。

全てパターンをカバーするのは組合せ爆発が起きるので不可能ですが、代表的な例をいくつか取り上げ、具体的にエンジニアリングマネージャーに残るレスポンシビリティを見ていきましょう。

プロダクトマネージャーの有無

プロダクトマネージャーが自チームの直属の部下である場合、プロダクトマネジメントアカウンタビリティもエンジニアリングマネージャーに直接帰属することになります。この場合、自チームのプロダクトマネージャーにどこまでレスポンシビリティを委譲するかは自己判断になり、さらにプロダクトロードマップなどの最終決定権も帰属するため、プロダクトマネジメントに対する深い理解が求められます。

しかし、プロジェクトマネージャーが直属の部下でない場合、直接的なアカウンタビリティは帰属しません。そのためプロダクトマネジメントは must-have なスキルでは無いとも言えます。ただしここで、マネージャーのアウトプットは「自分のチームのアウトプット + 自分が影響を与えた人のアウトプット」であることを思い出してください。プロダクトマネージャーは最も明確にエンジニアリングマネージャーが影響を与えられる相手であり、職務上プロダクトマネージャーの意思決定に貢献することは期待されることの一つとなります。また、この場合でもプロダクトをどのようにデリバリーするかというのは開発チームの職務になるため、デリバリープロセスマネジメントのアカウンタビリティはエンジニアリングマネージャーに帰属しています。

そしてプロダクトマネージャーがそもそも存在しないケースも存在します。これはプラットフォームチームで見ることが多いです。理由としてはプラットフォームチームはエンドユーザーが自社内のエンジニアや他のソフトウェア開発チームであり、必要とされるプロダクトマネジメントスキルが異なるためだと思われます。この場合は当然、エンジニアリングマネージャーがレスポンシビリティを委譲する相手が居ないので、プロダクトマネジメントを自分で行う必要があります。

テックリードの有無

テックリードは、エンジニアリングマネージャーと混同されることが多いポジション、またはロールです。

テックリードは、エンジニアリングマネージャーが持つテクノロジーマネジメントのレスポンシビリティを大きく委譲したメンバーになります。何をどれだけ委譲するかは当然テックリードのスキル、チーム構成、そしてエンジニアリングマネージャーの裁量に委譲します。

一般的には「チームがオーナーシップを持つプロダクトの How に対するほぼ全権限*9が委譲されたエンジニア」というパターンが多いのでは無いでしょうか。そしてエンジニアリングマネージャーに求められるのは「テックリードが決定権を持つ範囲の定義 = 権限委譲」です。

テックリードが居ないチームであれば、テクノロジーマネジメントに関する大きな権限委譲ができないので、エンジニアリングマネージャーがテックリードを自動的に兼任することになります。そのため、表面上だけ話を聞くと、エンジニアリングマネージャーの仕事とテックリードの仕事がとてもよく似ていることは多々あります。

一番の違いはチームのアカウンタビリティが帰属しているか、言い換えると直属の部下が居るかどうかになります。

エンジニアリングマネージャーはマネジメントパスですが、テックリードは IC パスなのです。

採用人事権

エンジニアリングマネージャーの最も重要な仕事はチームの担当範囲のアウトプットの最大化です。そのため、ソフトウェア開発チームの担当範囲である、テクノロジー、プロジェクト、そしてプロダクトに対する十分な理解、そしてそれらの領域でチームの成果を最大限にするためのピープルマネジメントがエンジニアリングマネージャーには求められます。

ピープルマネジメントには権限委譲も含まれますが、それを最大限に活用するために必要なのはなんでしょうか。もちろん業務内容の十分な理解に加え、メンバーの特性やスキルの把握は必要です。ですがそれだけでは不十分です。そもそも委譲を行うためのメンバーがチーム内に存在しないケースがあるからです。

その場合必要になるのが採用人事権です。

ピープルマネジメントの一環に、権限委譲やメンタリングを通したメンバーのキャリア支援は当然含まれますが、不足しているロールの定義とその採用も含まれます。

日本の採用方式と相性が悪い気はしますが、通常はエンジニアリングマネージャーは自チームの採用責任者になります。

ジョブディスクリプションの作成、面接のプロセスの定義と実践、採用可否判断、試用期間中における本採用の決定などエンジニアリングマネージャーの職務に含まれます。そしてそれを実践するためには、自チームの担当範囲に対する深い理解が求められます。

純粋なピープルマネジメントという幻想

ピープルマネジメントと聞くと一見、対人間のスキル以外を使わない仕事だと捉えてしまうかもしれません。

ですが、純粋な対人間スキルだけを使うピープルマネジメントは存在しません*10。エンジニアリングに対する専門知識が無い状態で、権限委譲、職責定義、メンタリング、キャリア定義や支援などが行えるでしょうか?難しいでしょう。もちろん、純粋な対人間スキルも数多くあります。ただ、専門チームのリーダーとして、それらを活かすには専門知識が欠かせません。

ピープルマネジメントは自分の専門分野とのコラボレーションで初めて力を発揮します。専門分野への深い理解があって初めて、ピープルマネジメントが生きるのです。

まとめ

  • エンジニアリングマネージャーは、エンジニアリングチームのマネージャー
  • エンジニアリングチームの担当範囲全てが、エンジニアリングマネージャーがアカウンタビリティを負う範囲
  • 求められるスキルはソフトウェア開発への深い理解と、その上でピープルマネジメント
  • チームのアウトプットを最大化するのが最も重要な責務で、その鍵は権限委譲
  • 組織構造と権限委譲の度合に応じて、実務におけるレスポンシビリティは多種多様

おわりに

エンジニアリングマネージャーは、ソフトウェアエンジニアリング領域でのピープルマネジメントがコアとなる、単なるマネージャー職であることがはっきりしたと思います。そして権限移譲をするためにはエンジニアリングに対する理解が必要不可欠なことも伝わったと思います。

一部の日本企業のエンジニアリングバックグラウンドのないマネージャー、例えば開発のことがわからない開発部長、これらが従来のマネージャー職のイメージを作っているのが、エンジニアリングマネージャーという言葉が輸入された理由なのかもしれません。

エンジニアリングマネージャーと開発部長の間に根本的な違いは存在しません。もしあなたの会社に開発のことがわからない開発部長が居るならそれは、組織構造上の不具合です。具体的には、開発部長を任命した人間の明確な過失です。開発のことがわからないのに、開発部の結果に対するアカウンタビリティを持ち、適切な人材を配置していくのは困難です。これはどの組織でも同じだと思います。法務がわからない法務部長、経理がわからない経理部長、それらが存在するなら明らかに配置ミスです。

ピープルマネジメントは専門領域とのコラボレーションにより力を発揮します。

最後に、エンジニアリングマネージャーに限らず、数多くあるロールやポジションも、IC かマネージャーか、所属するチームの担当範囲は何か、そしてどの権限が委譲されてるのかを見れば、名前に惑わされず本質がつかめると思います。

ポジションやロールというのは、権限委譲をパターン化したものと言えるのかもしれません。

*1:余談ですが、コードベースに対する a sense of ownership を持つことが重要という話があります。こちらに a sense of がついているのは、真にアカウンタブルなオーナーは別に居るが、チームメンバーがオーナーシップを感じているというニュアンスが出ていると思います。

*2:このあたりは素人なので、詳しいことは控えます。会社法上、必ず代表が存在するとも言えそうですし、いかにフラットな組織でも3レイヤーが現実的にミニマムとも言えるかなと思います。

*3:ちなみにアカウンタビリティまで手放すとそれは無責任の丸投げになります。絶対にやめましょう!

*4:誰に対するアカウンタビリティか、という点にも少し触れておきます。会社が行ったこと全てに対するアカウンタビリティが代表に所属し、アカウンタビリティは委譲されないならば、代表以外誰もアカウンタビリティを負わないのではないか、という混乱を生むことがないとは言い切れないからです。この混乱を防ぐには、誰に対して説明責任を負っているかに注目してください。会社の代表であれば対外的な全責任、つまり会社外の人全てに対してとも言えます。社内であれば社内の自チーム以外全てに対して説明責任があると言えるでしょう。階層が深い場合はそのチームのマネージャーのマネージャーに対してと言うケースもあります。

*5:もちろんプロダクトチームのマネージャーである例はありますが、一般的なソフトウェア開発チームにおいてプロダクトマネージャーがプロダクトチームのリーダーを指すケースは少ないです。

*6:当然エンジニアリングチームのマネージャーということは、エンジニアリングのマネジメントをチームマネジメントを通して行います。「エンジニアリングマネージャーは単なるエンジニア達のマネージャーじゃない」と言われる理由は、過去エンジニアリングチームのマネージャーが、エンジニアリングのバックグラウンドを持たないケースが一定数あったからなのではないかと推察します。いわゆる「現場を知らない上司」の典型例です。

*7:個人的にこの強い弱いは誤解を与える表現なので、そこまで好きではないですが、便宜上用います。選択と集中という言葉からわかる通り、弱い EM の方が特定スキルでは強い EM より練度が高いことは大いにあり得ますし、そうなるケースが一般的でしょう。その観点からみると強い EM は単なる器用貧乏の可能性もあり、決してどちらかが強い弱いという話ではありません。この強い弱いは定義としての強弱であり、スキルやロールとしての強弱ではありません。実際に該当記事中でも強めの EM 定義、弱めの EM 定義と言った後、それの言い換えとして強い EM と弱い EMが使われています。

*8:本文脈ではソフトウェア開発チームという言葉を、エンジニアリングチームと区別なく利用しています。

*9:具体的にはユーザーストーリーをどう実現するかの決定権。そしてメンバーに対する技術的支援。

*10:そのチームの専門領域が対人である場合、存在すると言えますが、その場合でも必要とされるスキルが「専門領域 + ピープルマネジメント」であることに変わりはありません。

「エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法」を読んだ

「エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法」を読みました。

厳密には原著の "Become an Effective Software Engineering Manager: How to Be the Leader Your Development Team Needs" を読みました。

英語 & 厚めの専門書ということで少し読むの時間かかりましたが、良書でした!

個人用のノートはガッツリ Notion で取っていて公開予定はないのですが、

  • エンジニアリングマネージャーの主な責任 (Accountability & Responsibilities) は何か
  • エンジニアリングマネージャーとして働き始めたけど IC*1 時代と違って成果を出してる実感がない
  • エンジニアリングマネージャーとして必要になるスキル

について一通り知りたい人は目を通してみると良いと思います。チームにエンジニアリングマネージャーが居らず採用を検討している人もオススメです。

内容はソフトウェアエンジニアリングに限定した話だけではないので、どなたでも読み進めることができます。

本に直接書かれているわけではありませんが、EM の強めの定義や弱めの定義という言葉に対する、統一的な定義を個人的に言語化できたが良かったです。

このあたりの情報の、点と点が全てスッキリつながった、というとわかっていただけるかと思います。

これについては別のブログでまとめたいと思うのでここでは深くは言及しませんが、鍵はオーナシップ、アカウンタビリティ、レスポンシビリティ、そして権限移譲です。 マネージャーはチームがオーナシップを持つもの全てにアカウンタビリティを持ち、どのレスポンシビリティを移譲するかによってチーム構成と自分に残るレスポンシビリティが残る、という感じです。そしてこのチームがオーナシップを持つものと、移譲できるレスポンシビリティは組織やチームによって異なるので、必要なスキルセットは組織によるため、同じエンジニアリングマネージャーでもレスポンシビリティが様々、ということです。

これを軸にすると、なぜ 1on1*2がマネージャーとして最も大切な日々の活動の一つなのか、チームのビジョンやゴールを設定することの重要性など、様々なことが線でつながると思います。

もう一つ抜粋しておきたい内容としては、マネージャーの日々の活動のカテゴリです。

IC 時代と違って成果を出せてる実感がないときは、チームのアウトプットが自分の主なアウトプットだと理解したうえで、日々の行動を以下に分類すると、自分がマネージャーとして仕事をしている(もしくはしていない)か客観視することができます。

  1. 情報収集
  2. 意思決定
  3. 他者の意思決定への貢献
  4. ロールモデルとしての行動

最後に付け加えておきたいことは「マネージャーの真価は悪い状況でほど問われる」ということでしょうか。

簡単な状況や良い状況では誰しも比較的うまくやれるものですが、難しい状況や悪い状況では如実に差がでる、というのはその通りだと思います。

良い本だったので、ぜひご一読ください!

*1:Individual Contributor

*2:個人的に 1on1 は confrontational な響きが少しするので、one-to-one や 1:1 のように on ではなく to を使うほうが好みですが、日本では 1on1 が一般的な表記なのでそれにならいました。本書の表記も one-to-one で、弊社で使っている人事評価や成長支援に使うソフトウェアの表記でも to が使われています

🥳5th Anniversary — ロンドンのスタートアップで働き始めて5年経った🎉

ロンドンのスタートアップで働き始めて5年が経過しました🎉

全社ミーティングで新メンバーと一緒に 5th Anniversary のメンバーとして紹介されて😮😊🥳となりました。

5年間、色々ありましたが、今振り返ってみると、そもそも採用した方も入社を決めたほうも、なかなか勇気のある決断だったと思います。

  • 当時 IELTS 7.0 で英語圏の大学院入学レベル到達とは言え、英語は仕事で本格的に使えるレベルではない
  • そもそもイギリスに行ったことすらなく、まずはカナダから時差のあるリモートワーク
  • 入社時点で会社は設立から5か月でプロダクトが存在せず、一人目のエンジニアとして加入(CTO の次)

正直入社時点ではロンドンに移住できるかも全く分からない、不確実なことだらけの入社でした。

necojackarc.hatenablog.com

そして半年後に無事にロンドンに移住。とても嬉しかったのを覚えています。

necojackarc.hatenablog.com

そこからはもう、流石はスタートアップという山あり谷ありでここまで来ました。 入社時はいわゆるシード直後のアーリーステージのスタートアップでしたが、シリーズA、そしてシリーズB突破まで辿り着き、次はシリーズCという段階です!

こちらの記事 によると、

ステージ 生存率
シード → シリーズA 40%
シリーズA → シリーズB 23%
シリーズB → シリーズC 9%

とのことなので、まだまだ全く安定とは程遠いですね……! 最近は景気も良くないようなので、本当にどうなるかわからない中での戦いとなります……!

運の要素も間違いなくあるとは思いますが、不況や困難、不確実な中でこそ真価は問われるので精進したいと思います。

この会社の推移と共に、最初は立ち上げ初期のエンジニアとしていわゆるフルスタックエンジニア、そこから成長するにつれてテックリードの役割にシフト、そして現在はエンジニアリングマネージャーとなり、自分の役割も変化してきています。

この変化の速さがスタートアップの醍醐味でもありますね!

necojackarc.hatenablog.com

necojackarc.hatenablog.com

necojackarc.hatenablog.com

2023年も更なる成長ができるように頑張っていきたいと思います!

「しっかり学ぶフランス語」を読んだ

「しっかり学ぶフランス語」に一通り目を通しました。

大学時代は第二外国語として選ぶものの、授業への出席すらせず*1、最終的には2年間で何も理解せず単位を軒並み落とし、三留や除籍の未来が見えたので諦めたフランス語*2ですが、去年から Duolingo でのんびり入門しました。大学時代は入門したとは言えない状態で諦めたので、あえて再入門とは言いません!

フランス語に入門しました!

Duolingo でゲーム形式で色々学び、いわゆる点がたくさん頭に入ってきた状態になったので、入門の入門本あたりを読んで点と点を繋ぎたいなとなってきたので一冊目として読んでみました。レビューにもある通り、初歩の初歩しかカバーしてないのですが、それこそがまさに必要な内容でしたのでドンピシャでした。

初歩の初歩を体系的に学んだことにより脳内にインデックスが張られ、Duolingo で学んできたことがスッと落とし込めた気がします。

最初の地図を手に入れた感じです。もしくはコンパス。

これから立ち向かうことになるであろう大量の文法事項や言語学習のあれこれが少し見えた感じがします。 正直、全体の1%位しかまだ見えてない気はしますが!言語学習は……沼。

もうすでに二冊目に目途はつけてますが、英語学習にかかった時間を考えると焦る気はない……というより、無理すると絶対続かないと思うので、無理せず楽しみながらコツコツやっていきます。

どこかで言った気がしますが、言語学習で個人的に大事だと思ってることは「日々の目標を低くし*3毎日達成すること」だと思うので、その感じで続けていきます。

のんびり楽しみながらゲーム感覚でフランス語入門!

*1:厳密に言うと、フランス語だけではなく、この時期に出席していた授業は多分ほぼなかった気がします。不思議なことに起きたら大体の授業が終わっていました。

*2:どうにかして一留で卒業するため、言語自体は難しいが単位は非常に取りやすいロシア語に変更しました。ちなみに三年次での第二外国語変更は二留確定の状況でしたが、交渉と努力によりロシア語初級と中級を同時取得し一留で済ませることができました。あの時は頑張りましたが、悲しいことにロシア語のアルファベットの読み方以外何も記憶に残っていないです。やはり言語はコツコツ積み上げないと駄目ですね。

*3:当然ゴールに対して一歩でも進む、意味のある目標にする必要はあります。そのためには何をどうやって習得していくか、というロードマップがぼんやりでもあると良いです。

HAPPY NEW YEAR 2023

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくおねがいします!

昨年に引き続き、今年もロンドンの自宅での年越しでした。

ただし、昨年と大きく違うのは今住んでいるのは持ち家という点ですね! 詳しくは2022年の大きな出来事にて!

年越し自体はロンドンでしたが、クリスマス前は Tenerife というカナリア諸島の島で10日間のんびり過ごしてきました。 Instagram で繋がってる方は我々夫婦がプールやジェットスキーで楽しそうに遊び回ってる姿を既にご覧になったかと思います。 日本の方達が年末年始をハワイやグアムで過ごす気持ちが少しわかりました……冬に行く暖かい島、良いですね!

さてさて、それでは例年通り昨年の簡単な振り返りをしたいと思います。

necojackarc.hatenablog.com

大きな出来事

Wimbledon, Roland-Garros, and more!

正直入れるか悩みましたが、今年はたくさんテニスを見にいきました!

  • Roland-Garros Day 3 & 4
  • Cinch Championships Day Final
  • Wimbledon Day 1 & Final
  • Laver Cup Day Final

なんと合計7日間……ウィンブルドンは2年連続で2日間見に行くことができました! 今年は最後のセールスでやっと買えたので、かなり後ろの席でしたが、またしても男子シングルス決勝を見ることができました!

そうです、2年連続で生でジョコビッチウィンブルドンを制するところを見ました!笑

全仏オープンでも生ジョコビッチを見たので、なんかジョコビッチいっぱい見てるな……という気持ちになりました。 全仏ナダルも見れたので最高でした。これだけ行けば見た選手をあげるだけで一苦労なので全員はあげませんが……というか Big 4 だけ言及します!マリーも見ました!嬉しい!

Laver Cup はフェデラーが初日で引退してしまったので、生フェデラーは見れましたが、フェデラーの試合は見れませんでした…残念。

流石に来年はこの数は見ないと思いますが、今年もウィンブルドン見に行けたら良いなと思います!

ロンドンでモダンフラットを購入

何といってもこれが一番大きいのではないでしょうか! 人生初の持ち家!ローン生活に突入しました!

2年金利固定でローンを組んだのですが、その直後に金利が凄い勢いで上がっており、完璧なタイミングだったと思いつつも、 2年後のローン組換えのタイミングで金利がどうなってるか不透明すぎて怖く、5年金利固定にしておけば良かったという思いもあります。

どちらが正解だったかは、再来年に判明します……怖い!

ローンの話はさておき、フラット自体はすこぶる快適です!

2人で住むには十分広く、3人でピッタリ、4人だと少し手狭、というサイズ感です。 実際前の持ち主は4人家族で、子供2人が大きくなってきたので買い替えを決めたようでした。

ちなみにイギリスには Property Ladder という概念があり、不動産の価値上昇に伴いより高い家へと買い替えていくのが一般的です。 現状買い換える予定はないですが、ラダーの初段に無事乗れたので、今後過去数十年続いているトレンドが大きく変化しなければ、必要に応じて次の家に移れるかもね、と言う感じです。

金利や不動産価格などのように不透明で怖い部分もありますが、現状持ち家の快適さがそれらを上回っており満足です!

追加でテニスクラブに加入

去年加入したテニスクラブに加えて、新しく別のテニスクラブにも加入しました。 この辺りのエリアで一番人気のクラブだったので、結構加入まで待ちました。

全英ジュニア U14 と U11 でそれぞれ優勝した日本人兄弟 が所属していたクラブでもあり、この間その父親とひょっこり出会いました。

しっかりしたテニスクラブということもあり、年会費が割と高いのがネックですね……。

テニスクラブ二重加入により、平均週5日でテニスをする生活を送り始めました。 たまに10日連続(下手するともっと?)などもやってましたが、非常に充実しております!

流石に休みの日に1日7時間とかやった時は、身体が悲鳴をあげてましたが。 もちろん、次の日にもテニスをしました。最高でした。

スポーツは大体そうですが、テニスもやり込み要素が無限にあるので、やってもやっても飽きません!

CTO や VP Engineering の採用に成功

創業初期の初代 CTO が抜けて約2年、ついに CTO と VP Engineering が弊社に加入しました! 他にはアーキテクチャやサイバーセキュリティ周りのシニアメンバーも加入し、成長企業としてメンバーが充実してきました!

2020年からエンジニアリングマネージャーとして働いていますが、自分よりもシニアなマネジメント層が一気に増えたことで、その中で何ができるか、何をしたいかを考え始める年となりました。

現状、エンジニアリングマネージャー、つまり individual contributers のエンジニアを直接マネジメントするポジションに面白みを見出してきているので、今年はこの辺りについて、より深く考え、成長できれば良いなと思います。

会社が Redandancy (いわゆるレイオフ) を決行した

さぁ、これから会社が大きくなるぞ!と思ったのも束の間、マーケットが一気に落ち込み、弊社も例に漏れずレイオフを敢行しました。 詳細は省きますが、イギリスでの redandancy やレイオフで調べていただければ出てくる内容の、まさにその感じです。

これ言って大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、Linkedin を見てれば弊社で働いていた人が同時にある程度の数 OpenToWork のステータスになったこと、かつ残念ながら対象になってしまった人が public で職探しのための投稿を事情付きでしてることからすぐにわかることなので、問題ないと思います。

あと、アメリカでもイギリスでも今年の後半はレイオフ祭りだったと聞いております。

この辺りから前述したイギリスの中央銀行金利も爆発的に上がり始め……さて、これからマーケットはどうなっていくのでしょうか?

弊社のビジネスモデル的に、upmarket から downmarket の移行時期が最も弱く、そこさえ乗り切れば upmarket でも downmarket でも追い風になるとのことなので、 その通りに行くならば、ここさえ乗り越えればまた次の成長が見えてくるとは思います。

これもまたスタートアップ……ということで、創業初年度から波乱万丈な日々を過ごし続けております!

2023年、さらなる成長を目指し、それに貢献したいと思います!

ラムゼイハント症候群になった

11月末にラムゼイハント症候群になりました。今年ジャスティンビーバーも疾患した病気です

一時頭痛がとんでもなく、緊急外来*1に駆け込むか悩みましたが、何とか耐え、翌日すぐに GP でオンライン診療してもらいました。その後顔面麻痺が出始め GP に見てもらい専門病院へ、と言う流れでした。あまりに頭が痛かったので深夜に111で相談はしましたが、結局 GP の方が対応が早く、111の意味とは……と少しなりました。

結果として、耳の発疹、頭痛、激しい眩暈、左半分の顔面麻痺という症状に苦しみました。 顔面麻痺の状態については、Linkedin や Facebook で繋がってる方は動画を見ていただいたかもしれません。

本日時点で90%程度回復しており、軽い顔面麻痺と頭を動かした際の眩暈が主に残っています。

平衡感覚を司る神経がダメージを受けているようで、テニスに復帰はしましたが、まだ思うようにプレーできないです。

ただ、回復してきているので、回復のためにしっかり休みつつ、テニスや仕事をしていきたいと思います!

テニスクラブのリーグ戦には1月半ばに戻れたら良いなぁと思っています。

大きな出来事をざっくりと時系列順に書きましたが、下に行くほど嬉しくないできごとになってますね……。

テーマ

2022年のテーマも引き続き、

  • 挑戦(常に新しいことに取り組む/を学ぶ)
  • 英語(多読多聴)
  • 健康(スポーツと食生活)

でした!

挑戦

挑戦は「常に新しいことに取り組む/を学ぶ」をサブテーマにしており、タスクには、

  • 興味が湧いたら即行動し、小さくとも新たな挑戦をし続ける(次の大きな挑戦への備えとなる)
  • 既知に囚われず未知に触れ続ける(未知のジャンルや技術も問題解決の選択肢として常に考慮する)

を挙げていました。

テニスでのさらなる挑戦、エンジニアリングマネージャーとしての日々の挑戦と、去年から完全陸続きです。 新しいことに挑戦したというよりは、今現在やっていること、やりたいことを深掘りし始めた感じです。

挑戦に含まれるかはわかりませんが、永住権を持たない外国の地でローンを組んで物件を購入、というのはハードルが非常に高くなかなかの冒険でした。 オファーから手続き完了まで合計5ヶ月かかりましたが、なかなか貴重な経験でした。

正直これは……あまりもうやりたくないですね!面倒すぎます!

ある意味で弊社の PropTech としての存在意義を実感しました。

ちなみにですが、妻はフルマラソンに挑戦しました。 フランスはボルドーの北の地、メドックにてメドックラソンを無事完走!すごい!

自分は怪我が怖かったので、ステーキとチップスを食べ、応援してました!

頑張った!妻が!

パリも最高でしたが、ボルドーも素晴らしかったです。

フランス、良い!

英語

英語は「多読多聴」をサブテーマにしており、タスクには、

  • 英語の動画を積極的に視聴する
  • 英語の本を積極的に読む

を挙げていました。

本については現在英語で読んでる本が2冊ありますが、今年読み切った本はありません。 というか、今年はまだ漫画や小説を除くと、しっかりと本を読み切っていないですね……。

これは余暇の時間がほぼテニスに費やされていることでインプットが減ってることもありますが、インプットが読書から動画や Web 媒体に移ったことが大きいです。

体系だって何かを学ぶ際に、YouTube などでプレイリストがまとまっていたり、そもそも公式サイトが非常にまとまっていたりと、なかなか本で読もう、となるケースが少なかったです。 実際弊社の超有望優秀の若手エンジニアは、本は全く読まず、動画や公式サイトが主だと言ってました。自分も自然とそうなってきています。

現在読んでる本については読み切り次第、ブログにまとめたいと思います。

動画については、趣味や勉強関わらず自然と英語で見ることが多く、知らないうちに達成できていました。

ただでさえ読むのが遅いので、英語になるとさらに遅いということで、読書を英語でやりきるのはなかなかできていませんが、 動画に関しては特に問題なくインプットとして使えるので、自然と英語でコンテンツを探していることが多いです。

この状態はある理想に近いので、こちらは見事に目標達成できました。

余談ですが、Duolingo でフランス語の勉強を初めて196日経ちました。

Duolingo でしかフランス語の勉強はしてないのと、やってても1日数分なのでまだまだ初級の最初の数歩レベルですが、そろそろ体系だって勉強したいな〜という気は起きてきました。

果たして!

健康

健康は「スポーツと食生活」をサブテーマにしており、タスクには、

  • テニスと筋トレの継続
  • 1日7時間睡眠
  • 食事は満腹を避け常に腹八分目以下にする

を挙げていました。

テニスと筋トレについては、完全に習慣化しました。 テニスについては上で述べた通り今年後半から平均週5日になっているので、予想より遥かにやっています。

怪我だけが怖いですね!まさかの病気でプレーできなくなるとは思いませんでしたが!

筋トレについては、今はタバタ式 HIIT でバーピーと腹筋ローラーを定期的にやっています。 ちょっとバラエティが減ってきてますね。バーピーとタバタ式、そして腹筋ローラーを信じている、ということでもあります。笑

その代わり、最近毎日ストレッチを30分から1時間やらないと落ち着かなくなり、ストレッチが長くなっています。

睡眠については……少しだけ改善してきました。

3時に寝て9時半に起きる生活をし続けていましたが、1時までに寝て8時に起きるを目標に最近頑張っています。 あと、土日に朝7時半からテニスをしているので、週末はなんと23時台に寝ることが増えています!

朝テニスを入れることで、早寝早起きができるようになるとは……やはりモチベーションは大事ですね!

食事については、運動量が多すぎるので最近何も考えずに食べていました。 日によってはテニスだけで2000kcal 消費してたりするので、好きに食べても正直太りません……!

それどころか好きに食べてるのに体脂肪率が下がり、体重は少しずつ増えています。

明らかにガタイがよくなっている……!

ただ、ラムゼイハントで1ヶ月以上テニスができなかった間は、流石に気をつけました。

気をつけはしましたが、お腹の肉は少し増えた気がします。 そして1ヶ月以上にわたる運動不足が響き、この間は2kg 体重が減り、明らかに筋肉量が落ちました。

脂肪や筋肉って、結構簡単に増減するんだなぁ(しかも基本的には嬉しくない方向に)と実感します。

2023年のテーマ

2023年のテーマ、サブテーマ、タスクですが、2022年から地続きにしつつ挑戦のテーマを成長へと変えたいと思います!

  • 成長(メインフォーカスへの更なる注力)
    • エンジニアリングマネージャーとして、どういったスキルや経験を身につける必要があるべきかの理解を進め、そしてそれらを身につける
    • テニスにおけるあらゆるスキルの向上を目指し、戦術の模索と実践を実戦で行う
  • 語学(英語とフランス語)
    • インプットのベースを英語にし、多読多聴を意識することなく行い続ける
    • Duolingo を数分するだけでも良いので、最低限のフランス語学習を継続する
  • 健康(睡眠、運動、食事)
    • 7時間睡眠と早寝早起きの習慣化
    • ストレッチと筋トレによる怪我防止
    • 腹八分目食生活の継続

仕事も趣味も、挑戦から腰を据えての成長の段階だと感じています。 現段階で何にフォーカスしたいのかと言うのが2022年でクリアになったと言えると思います。 もちろんこれが変わる可能性はありますが(視野の拡大、視座の向上、興味の変化など)、2023年元日時点ではエンジニアリングマネージャとテニスが自分の軸と言える状態になっています。

語学に関しては、ベースのインプットが英語に移行しつつあるので、英語に関してはそちらを継続するだけで正のループに入り、ドラスティックではなくとも着実に伸び続けるかなと思います。 フランス語は、正直初級も初級レベルの段階ですが、196日も Duolingo が続いているので、こうなったらこのまま続けてやろうかなと思います。笑

もし来年、Duolingo 以外でも勉強し始めたとなっていたら大勝利ですが、フランス語を学ぶモチベーションがそこまで高くないので、Duolingo が続いてただけでも自分を褒めたいと思います!

健康については、早寝早起きのメリット、睡眠時間が足りないデメリットを身をもって知った年(前者は早起きして朝仕事前にテニスをする素晴らしさを実感したこと、後者はラムゼイハントを含む体調不良が大抵睡眠不足の状態で襲ってきたことが挙げられます)だったので、こちらをしっかりと心がけたいと思います。スマートフォンやスマートウォッチでベッドタイムアラートなども設定しました。目標達成のための環境作りは大事!

食生活については、体型維持が完全にテニスに依存して甘えているので、食事も気をつけようね!ニュアンスです。

睡眠、運動、食事。これらは健康に生きるための基本ですね!

そして今年ももちろん、

将来の自分が過去の自分に向かって胸張れる存在になれるようにマイペースに生きていきたい

という自分の言葉と、

『小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道』

というイチロー選手言葉を今年も大切にしていきたいと思います!

2023年も最高に楽しんでいきましょー!

ぴーす!

*1:Urgent Care - イギリスには基本2つの24時間空いている外来部門があり、Urgent Careが命に関わらない緊急外来、Accident & Emergency (A&E) が命に関わる事故や緊急の外来対応を行なっています

海外ソフトウェア開発チーム運用における三つの組織パターン

現在エンジニアリングマネージャーとして働いていますが、これまでのキャリアでベトナムチームとの協業、メンバーが複数国に分散しているチームなど、ソフトウェア開発メンバーが海外に居るパターンをいくつか経験しました。

本記事では、海外に開発メンバーが居る場合のチーム構成を3パターンに大別し、それぞれの制約や条件、そしてメリットやデメリットについてまとめます。

  1. Globally distributed teams (国際分散チーム)
  2. Local teams (国別チーム)
  3. Subcontracting teams (業務委託チーム)

Globally distributed teams (国際分散チーム)

Tech Lead in Vietnam
Tech...
Product Manager in Japan
Prod...
UI/UX Designer
in Japan
UI/U...
Developer in Vietnam
Deve...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Vietnam
Deve...
English
English
Development Members
Developmen...
English
English
English
English
Globally Distributed Team A
Globally Distributed Team A
Backlog A in English
Backlog A in En...
Maintains
Maintains
Product A
Product A
Develop
Develop
Tech Lead in Japan
Tech...
Product Manager in Vietnam
Prod...
UI/UX Designer
in Vietnam
UI/U...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Vietnam
Deve...
English
English
Development Members
Developmen...
English
English
English
English
Globally Distributed Team B
Globally Distributed Team B
Backlog B in English
Backlog B in En...
Maintains
Maintains
Product B
Product B
Develop
Develop
Communicated in English
Communicated in En...
Communicated in English
Communicated in En...
Pick tickets from
Pick ticke...
Pick tickets from
Pick ticke...
Text is not SVG - cannot display

この構成では、単にチームメンバーが各地に分散しているだけで、国による境界は存在しません。

最も自由度が高く、小規模から大規模まで問題なくスケールします。

共通言語として英語を採用した場合、採用市場も大きく広がります。大手企業が公用語の英語化に踏み切って居るのは、この観点からも理にかなっていると言えます。

そもそもこの構成は、時差を無視してしまえば、「リモートメンバーが複数人居る国内チーム」と全く同じです。こう考えると、なぜこの構成が最も自由度が高くスケールもしやすいかわかりやすいと思います。コロナ禍以降でこのチーム形態に移行した日本国内の開発チームも多いのではないかと思います。

必要条件

  • 全メンバーが1つの言語で意志疎通を取れること
  • タイムゾーンの差がチームの必須アクティビティにおいて許容範囲であること

メリット

  • チーム構成の自由度や柔軟性が最も高い
    • 1チームからスタート可能
    • 必要に応じてチームの組み直しも容易
  • 国による分断がなくチームとしての一体感が高い
  • 多様性が非常に高いチームが作れる

デメリット

  • 分散チームであるためリモートワークが基本
  • 多文化理解の必要性が高まる

Local teams (国別チーム)

Tech Lead in Japan
Tech...
Product Manager in Japan
Prod...
UI/UX Designer
in Japan
UI/U...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Japan
Deve...
Japanese
Japanese
Development Members
Developmen...
Japanese
Japanese
Japanese
Japanese
Local Team A (Japan)
Local Team A (Japan)
Backlog A in Japanese
Backlog A in Ja...
Maintains
Maintains
Product A
Product A
Develop
Develop
Tech Lead in Vietnam
Tech...
Product Manager in Vietnam
Prod...
UI/UX Designer
in Vietnam
UI/U...
Developer in Vietnam
Deve...
Developer in Vietnam
Deve...
Developer in Vietnam
Deve...
Vietnamese
Vietnamese
Development Members
Developmen...
Vietnamese
Vietnamese
Vietnamese
Vietnamese
Local Team B (Vietnam)
Local Team B (Vietnam)
Backlog B in Vietnamese
Backlog B in Vi...
Maintains
Maintains
Product B
Product B
Develop
Develop
Communicated in Japanese
Communicated in Ja...
Communicated in Vietnamese
Communicated in Vi...
Pick tickets from
Pick ticke...
Pick tickets from
Pick ticke...
Text is not SVG - cannot display

独立した自律的な開発チームが各国に存在する構成です。

アーキテクチャ開発プロセス的に複数チームでの開発が可能であったり、そもそもプロダクトが複数ある場合など、それぞれのチームが自律的に動ける土壌がある場合に力を発揮します。

各国に大きな拠点があり、拠点毎に違うプロダクトや機能を開発しているような大企業でこのパターンが採用されていることが多いと思います。

実際にエンドユーザー的には同一プロダクトだったとしても「機能 A は A 国のとあるチーム、機能 B は B 国のとあるチーム」のような構成取る大企業をいくつか知っています。

最低2チームが必要になるため、スタートアップや中小規模の会社でこれを行う場合、プロダクトの成熟度や採用がボトルネックになり、この形態を取れないこと多い印象です。

必要条件

  • 各国でそれぞれチームが形成できる人材が揃っていること (e.g. Product Manager, Engineering Manager, Tech Lead)
  • アーキテクチャ開発プロセスが複数チームによる開発を想定した設計になっていること

メリット

  • 独立した自律的な開発チームの集合体となるため、チーム内において海外協業関連のデメリットがほぼ存在しない
    • チーム内における言語の壁が存在しない
    • 同一タイムゾーンで働ける
    • オフィスを基本とした労働形態も取れる

デメリット

  • 各国に個別の開発チームを構成できるだけの人材が必要になる
  • 各国による分断が起きやすく、企業全体としての文化醸成の難易度が高い
  • 複数チーム開発に耐えうるアーキテクチャ開発プロセスの成熟度が求められる

Subcontracting teams (業務委託チーム)

Tech Lead in Japan
Tech...
Product Manager in Japan
Prod...
UI/UX Designer
in Japan
UI/U...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Japan
Deve...
Developer in Vietnam
Deve...
Japanese
Japanese
Development Members in Japan
Developmen...
Japanese
Japanese
Japanese
Japanese
Subcontracting Team A
Subcontracting Team A
Development Members in Vietnam
Development M...
Developer in Vietnam
Deve...
English
English
Communicated in Japanese
Communicated in Ja...
Communicated in Vietnamese
Communicated in Vi...
English
English
English
English
English: Possibly in either Japanese or Vietnamese with a translator...
English: Possibly in either Japanese or Vietnamese with a translator...
Product A
Product A
Develop
Develop
Develop
Develop
Backlog A in Japanese
Backlog A in Ja...
Maintains
Maintains
Pick tickets from
Pick ticke...
Assign tickets to
Assign tic...
Text is not SVG - cannot display

上流下流分離型とも言えます。一部の下流工程を海外メンバーに委託する形態です。

具体例として、日本側の Product Manager や Tech Lead がチケットを海外メンバーにアサインし、開発は海外側、レビュー以降は日本側で行うというのが挙げられます。

また、完全に上流下流が分離する必要はなく、国内メンバーはフルサイクルで開発をしつつ、海外メンバーは一部の下流のみを担当、ということも可能です。

図を見てわかる通り、コミュニケーションやタスクの流れが複雑化しており、効率性が悪いです。もし通訳が必要となった場合は、さらなる効率性の低下が懸念されます。

「各メンバーが同一言語でコミュニケーションを取れないが、プロダクトおよびプロダクトバックログは共有」という場合などに出現します。「海外メンバー用のチケットを選ぶ・準備する」のような作業が発生しているのであれば、このパターンに陥っているかなと思います。

陥っている、とネガティブな言い回しをしていますが、個人的には業務委託のデメリットと海外協業のデメリットの掛け合わせが発生するので、アンチパターンだと思っています。

Team Topologies などを参考に、チーム分割(その際アーキテクチャの見直しやプロダクト分割も必要になるかも)を行い、Local Teams (国別チーム) に早急に移行したいな、と個人的には思います。もしくは共用語を英語にして、Globally Distributed Teams (国際分散チーム) へ移行したいです。

必要条件

  • 特になし(強いて言うなら、数多くのデメリットを受け入れられること)

メリット

  • 既存のチーム、プロダクト、アーキテクチャなどに対する変更が少なくて済む
    • 深く考えずに「とりあえず海外メンバー入れてみる」とこうなるということでもあるので、正直メリットなのか怪しい
  • SIer 方式(下請け方式)でのスケールが可能

デメリット

  • コミュニケーションのオーバーヘッドが大きい
    • チーム全体ミーティング(デイリースクラムやレトロスペクティブ)を開くことが言語の壁により困難
    • バックログの翻訳が必要になるケースが多い
  • 海外メンバーが実態として下流工程のみを担当するため、いわゆる上流下流分離によるデメリットが出現する
    • 海外メンバーが「チームへの帰属意識」や「Sense of ownership」を感じにくい
    • 国内メンバーが海外メンバーへのチケットアサインやレビューで忙殺される
    • 上流下流間での手戻りや質問などのやり取りのオーバーヘッド
  • 実態として「大きく相互依存したサブチームの集合体」チームになるので、真に自律的な開発チームを作ることが難しい

まとめ

言語の壁やタイムゾーンの制約を追加で考慮して、独立して動ける自律的な開発チームを複数組織するにはどうすれば良いか?という問題に帰結します。 最初の2パターンは、これらの追加制約を無視して考えると、どちらも同じ組織構成(複数の自律的な開発チームが存在するだけ)になっています。

すなわち、自律したフルサイクル開発チームを作る、という基本から外れなければ、大きく失敗することはないと思います。

Happy New Year 2022

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくおねがいします!

昨年に引き続き、今年もロンドンの自宅での年越しでした。

早速、例年通りの簡単な振り返りをしたいと思います。

necojackarc.hatenablog.com

大きな出来事

勤続年数が初の3年越え

これを書いている現時点でもうすぐ丸4年ですが、3社目にして初めて、勤続年数が3年を突破しました。

necojackarc.hatenablog.com

波乱万丈な日々を今でも過ごしているので、この記録はまだ伸びそうです!

スタートアップの成功率を考えると、この先もまだまだ苦労は絶えないと思いますが、できることを頑張っていきたいと思います!

エンジニアリングマネージャーになった

キャリアの初め頃はマネージャーになる未来は想像していませんでしたが、ついにマネージャーになりました。

necojackarc.hatenablog.com

エンジニアリングマネージャーの職責については色々あり、かつ会社によって違うと思いますが、とりあえず大きな変化としては、正式にいわゆる部下と、ある程度の人事権を得たのが大きな違いでしょうか。人事権と言っても、もちろん単独で何かを決定するレベルではありませんが。

「エンジニアリング」マネージャーであるので、技術などのキャッチアップがおろそかにならないようにするのが今後の課題だと思います。

テニスクラブに加入した

秋ごろから色々なテニスイベントに参加するようになり、ついに冬にテニスクラブに加入しました。 コーチングはいまだに受けていませんが、ソーシャルセッションに頻繁に参加しています。

色々な人と試合をすると、練習では全く見えてこなかった課題や問題がたくさん出てきて、成長の糧になり良いです。

来年はクラブでのリーグ戦、そして誰でも申し込み可能なローカルリーグ戦に挑戦する予定です!

テーマ

2021年のテーマも引き続き、

  • 挑戦
  • 英語
  • 健康

でした!

挑戦

挑戦、特に常に新しいことに取り組む、新しいことを学ぶをテーマとしており、具体的には、

  • 興味が湧いたら即行動し、小さくとも新たな挑戦をし続ける(次の大きな挑戦への備えとなる)
  • 既知に囚われず未知に触れ続ける(未知のジャンルや技術も問題解決の選択肢として常に考慮する

としていました。

仕事ではエンジニアリングマネージャーとして日々未経験のことに飛び込むというのを続けれているかなと思います。会社はどんどん大きくなっているので、今後この挑戦は続くかと思います。

新しい技術については、なかなか自分からは触れられていませんが、新メンバーや人との交流を通してキャッチアップは最低限出来ているので、これも続けるか、もっと情報量を増やしていけたらいいなと思います。

プライベートではテニスクラブとリーグ戦への加入が自分にとっては大きな挑戦でした。

30歳前後で始めた新しいスポーツを本格的にやっていくのは、踏み出す勇気が必要でした!ちょっと踏み出せて来てる!

英語

英語の多読多聴をテーマにしており、具体的には、

  • 英語の映画やドラマを積極的に視聴する
  • 英語の本を積極的に読む(特に小説など、これまであまり英語で触れてきていないジャンルがベスト)

としていました。小説は……読めていませんが、英語の本を読む機会や、英語の動画コンテンツを楽しむ機会はかなり増えてきているかなと思います。

これはこの調子で続けていきたいと思います。

健康

健康、特にスポーツと食生活をテーマ都市、具体的には、

  • テニスと筋トレの継続
  • 1日7時間睡眠
  • 食事は満腹を避け常に腹八分目以下にする

としていました。睡眠以外は及第点だったかなと思います。睡眠については、そろそろ本格的に改善が必要です……。 おそらく意識改革から始める必要があると思いますが、まだ具体的なプランはないです……。

ただ、運動と食事により、身体のコンディションはかなり良いです!

あとは睡眠と飲酒量に気を付けたいですね……!

2022年のテーマ

2021年をほぼそのまま引き続き2022年のテーマ、サブテーマ、タスクとしたいと思います!

軽微な変更として、英語の多読でジャンルへの言及は無しにしました。 何を読んでもいいし、何を見ても良いので、とにかくインプット量を増やす、ということを掲げたいと思います。

  • 挑戦(常に新しいことに取り組む/を学ぶ)
    • 興味が湧いたら即行動し、小さくとも新たな挑戦をし続ける(次の大きな挑戦への備えとなる)
    • 既知に囚われず未知に触れ続ける(未知のジャンルや技術も問題解決の選択肢として常に考慮する)
  • 英語(多読多聴)
    • 英語の動画を積極的に視聴する
    • 英語の本を積極的に読む
  • 健康(スポーツと食生活)
    • テニスと筋トレの継続
    • 1日7時間睡眠
    • 食事は満腹を避け常に腹八分目以下にする

そして今年ももちろん、

将来の自分が過去の自分に向かって胸張れる存在になれるようにマイペースに生きていきたい

という自分の言葉と、

『小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道』

というイチロー選手言葉を今年も大切にしていきたいと思います!

2022年も最高に楽しんでいきましょー!

ぴーす!